こだわりの果物の販路を広げるため、ジュースだけでなく様々な加工品をつくろうと考える生産者さんや企業の方は多くいらっしゃいます。 

加工品の一つとして、発酵のチカラを使った果実酢をつくるという方法がありますが、果実酢とはどのようにできるのか、イメージが沸かない方も多いのではないでしょうか。 

今回は業務用調味料として開発される「果実酢」について、OEM開発の際のポイントや、実際の開発事例について解説していきます。 


目次

はじめに

お酢には大きく分けて「醸造酢」と「合成酢」があります。「醸造酢」は穀物、野菜、果物などを原料に、発酵のチカラによってつくられるお酢のことであり、「合成酢」は酢酸や氷酢酸を希釈してつくられるお酢のことです。 

醸造酢は微生物の働きに頼るため、合成酢と比べて時間とコストがかかりますが、素材の風味を活かしたお酢をつくることができます。素材の風味が活きたお酢は、ドレッシングなどの調味料やタレなどに活用することで、特徴的な加工品開発の幅が大きく広がります。 

ここでは醸造酢のなかでも果実酢について、作り方や開発の際のポイントについても解説していきます。 

 

 

果実酢ができるまで 

 

果汁を絞る 

お酢の醸造では果汁を使用するため、搾汁器で果汁を絞る必要があります。 

すでにジュースにした状態で在庫をお持ちの場合は、そのジュースからお酢を仕込むことができるため、ジュースの在庫調整で果実酢を開発してみる、という場合もあります。 

 

②酵母を加える 

酵母を加えることで、酵母の発酵により果汁の糖をアルコールへと変えていきます。 

使用する酵母は各醸造酢メーカーによって独自に選定しており、果実の種類などに合わせてその蔵で最適な酵母が使われます。 

 

③酢酸菌を加える 

酵母発酵を終えた時点では、とても華やかな香りのお酒になっています。できた果実酒に酢酸菌を加えると、酢酸菌がアルコールを酢酸へと変えていきます。 

酢酸菌は非常にデリケートなため、他の微生物に負けないように管理することが大切です。 

また酢酸菌は空気に触れる所でしか生きられないため、液の表面に膜をつくって発酵を進める「表面発酵」を行います。 

発酵・熟成の進み具合により、1ヶ月~半年程度でお酢が出来上がります。 

 

④製品 

一定程度の酢酸が産生されるとお酢の出来上がりです。 

出来上がったお酢はオリ引きやろ過・殺菌工程を経て製品となります。 

果実酢100%で販売することもあれば、そこから更に加工品原料として使われる場合もあります。 

 

 

果実酢開発の4つのポイント 

 

①素材の選定 

まずはどの素材をお酢にしたいのかを決めます。最終製品のコンセプトを想定し、果実の種類のほか、産地や品種、栽培方法などでどこまで絞り込むかを決めていきます。 

収穫時期や果汁にした際の歩留りも考慮する必要があります。 

また、酵母発酵では糖からアルコールをつくるため、糖分の多い果実ほどお酢がつくりやすくなります。 

 

委託先の選定 

OEMで果実酢を製造できる委託先について調べ、受入れの条件がないか確認する必要があります。 

搾汁から依頼できるかどうかや、原料の種類に制限がないかを事前に確認しましょう。 

委託先に搾汁設備がない場合、搾汁のみ別の委託先を探さなければならず注意が必要です。 

 

③製造ロットの確認 

OEM委託先には果実酢の製造ロットが決められているため、事前にロットの確認をしておくことも重要です。 

出来た果実酢100%で商品化する場合は、商品の出来高もある程度予想がつきます。一方果実酢を原料に加工品をつくる場合は、その数倍量の商品ができるため、事前の販売計画が重要となります。 

 

製造期間の確認 

果実酢の製造は数カ月の発酵期間を要し、また果実の種類によっては発酵が予定通り進まないといったことも考えられます。 

販売計画に支障が出ないよう、委託先と相談しながら発売時期や在庫数に余裕を持って計画することが重要です。 

 

 

開発事例 

 

りんご酢 佐々木果樹園様 

 

地元でりんご栽培をされている「佐々木果樹園」様では、農薬の使用を極力抑え、除草剤は使わずに有機肥料で栽培するなど、環境に配慮したこだわりのりんごを生産されています。 

そのりんご100%でつくったりんご酢をシンプルにそのままボトル詰めしました。 

りんごの風味がしっかりとあり、市販のりんご酢では味わえないおいしさです。 

【事例詳細はこちら】 

りんご酢 佐々木果樹園様 

 

 

ぶどう酢 有限会社神田葡萄園様 

 

極力食品添加物に頼らない商品作りをしているので、自社製品のラインナップとして、また他の商品の一部として、自社のぶどうジュースから伝統製法でお酢を醸造して欲しいとの相談を受けました。。 

ハーブを加えたコーディアル・シロップなど様々なオリジナル商品に展開されています 

【事例詳細はこちら】 

赤ぶどう酢 神田葡萄園 

 

 

山ぶどう酢 矢巾町様 

 

矢巾町で生産されている「山ぶどう」は、野生種であり、とても希少性があるとのこと。これをお酢に醸造して、ドレッシングや飲むお酢などの原料として使用し、特産品を作りたいとご相談を受けました。

 

【事例詳細はこちら】 

山ぶどう酢 矢巾町様 

 

 

まとめ 

いかがでしたでしょうか?今回はOEMでの果実酢のつくり方と、それを開発する際のポイント、また実際の開発事例について解説しました。 

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