オリジナルのドレッシングやソースなど、調味料を他社に製造委託することが注目されています。

特に昨今は飲食店を経営されている方などが、自社で考案された調味料を小売用やテイクアウト用に開発を検討している、という事例も多くあります。

では、自社商品をOEM調味料として開発する際に注意すべきポイントには何があるのでしょうか。

今回は、その中でも「保存性」にスポットを当てて解説します。


目次

絶対に押さえるべき調味料開発のポイント5選

はじめに、自社商品をOEM調味料として開発する際に、どのようなポイントを押さえる要があるでしょうか?

絶対に押さえるべき5つのポイントから、ご紹介いたします。

 

味の方向性を決める

第一に、OEM調味料の味の方向性を決めていきます。

当然のように思われますが、意外と漠然としたイメージだけで進めている事例があり、またそういった場合なかなか納得のいく味に辿りつかない、といったことも起こりがちです。

このことから、目標となる味をより明確にイメージすることが大切と言えます。

例えば、「サラダをたくさん食べられるドレッシング」よりも「○○を使った海藻サラダ用ドレッシング」や「自店舗のシェフが手作りしている△△ドレッシング」といった具合です。

目標が具体的である程、開発にかかる時間も短くなり、商品化への近道となります。

 

物性を確認する

次に押さえるべきポイントは、調味料の物性です。

味の構成とは別に、その調味料の粘性や固形物の有無、分離・沈殿の状況によって、OEM委託先工場で製造できるもの、できないものが分かれる可能性があります。

例えば粘度が高い場合、調合時に均等に撹拌できなかったり、充填機の配管の中を通せないといったことがあります。

また、粘性の種類や加熱冷却時の変化などによっても影響を受けます。

固形物が入っている場合、その種類やサイズ、量によっては製造設備が適正でないことや、OEM委託先で受入れできないことがあります。

さらには調味液内容物の分離・沈殿が激しい場合も、状況によっては製造が難しいことがあります。

 

容器を選定する

中身と共に、容器についても検討を進めます。

どれ位の内容量で、材質はどうするのか、これは前述の物性によっても選択肢が分かれる場合があります。

業務用であれば20㎏程度のバッグインボックスや1.8Lペットボトルにするのか、1回使い切りの小袋なども選択肢に入ります。

小売用であればガラス瓶、ペットボトル、スタンドパウチなどから、用途や利便性、ガスバリア性などを考慮して、最適なサイズと材質、デザインを選定します。

また、OEM委託先によって使用可能な容器は異なりますので、依頼する際にしっかり確認しましょう。

 

ロットを決める

OEM調味料では委託先によって最低製造ロットが決められています。

OEM製造の依頼をする際には、こういった情報を確認することも重要です。

製造ロットを容器の内容量で割ると、おおよその製造出来高が計算できますので、販売計画と照らし合わせて最適な製造ロットを検討しましょう。

 

保存性を確認する

ここまでに説明した項目のうち、特にと共に考慮しなければならないのが「保存性」です。

「おいしい」「おしゃれ」だけでなく、安全で安定した品質を一定期間保障できる商品にするため、味と容器の検討にも大いに影響する内容です。

 

次項からは「保存性」についてより詳しく説明していきます。

 

 

特に注意すべき「保存性」とは

聞き慣れた言葉に「賞味期限」と「消費期限」があります。

賞味期限は「おいしく食べられる期限」のことです。

食品である以上、経時変化は少なからず起きるものですが、その変化がメーカーの期待する「おいしい」範囲を外れない期間のことであり、その期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。

一方消費期限は可食期間が比較的短いものに使われ、「安全に食べられる期限」のことです。

この期限を過ぎると腐敗などにより健康被害のリスクがあるため、注意が必要です。

今回はリスク管理上重要な、腐敗に係る保存性について説明していきます。

 

 

 

「保存性」を高めるのための方法5選

では、一般的に保存性を高めるためにはどのような方法が存在するのでしょうか?

ここからは、保存性を高めるための5つの方法を解説していきます。

 

①加熱する

加熱殺菌は家庭でも利用される、最も分かりやすい方法ではないでしょうか。

その名のとおり、熱の力で微生物を殺菌します。

また加熱することで味が馴染み、風味が良くなるといった効果も期待できます。

一方で過度な加熱は物性を変化させたり、独特の加熱臭がついたりするため、対象に合わせた適切な温度・加熱時間・タイミングを設定することが重要です。

 

食塩を加える

食塩を加えることで保存性を上げる代表例として漬物があります。

これは食塩の浸透圧の働きにより、野菜の細胞中の水分を奪うことで、微生物の活動を抑制させるものです。

通常の濃口醤油では塩分が約16%前後あり、醤油の保存性の主要因となっています。

塩分が高い食品はそのまま喫食するとしょっぱいため、使用量の調節や希釈などの使用方法を想定する必要があります。

 

砂糖を加える

食材を砂糖漬けにすることでも保存性を上げることができます。

ジャムやマーマレードもその一例です。

これも浸透圧による効果ですが、砂糖は食塩よりも浸透圧が低いため、より多く使用しなければ保存性を上げられません。

ジャムなどがわりと甘めなのはそのためで、この方法だけでは用途が限られることもあり、OEM調味料では食塩と組み合わせて使うことも多くあります。

 

酢を加える

酢漬けやピクルスも古くからある保存食品の代表例です。

酢を加えることでpHが下がることと酢酸自体の効果により、微生物の活動を抑制します。

ドレッシングは塩分や糖分が高いと野菜の味に合わせづらいことから、酢で保存性を確保して味を構成します。

酢に含まれる酸の量を示した「酸度」は酢の種類によって異なりますので、使用する酢の酸度を確認して、適切な使用量を決める必要があります。

 

食品添加物を加える

国が定めた食品添加物のなかには、酢の替わりに酢酸そのものを結晶化させたものや、pHを調整するその他の有機酸のほか、微生物の活動を抑制する保存料などがあります。

食品添加物使用の判断は最終商品のコンセプトによっても左右されますが、必要に応じて微生物を制御できる最低限を使用することも選択肢となります。

 

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

自社商品をOEM調味料として開発する際には、注意すべきポイントがいくつかありますが、なかでも重要な「保存性」の考え方について紹介しました。

この機会に、自社商品のOEM調味料を開発することを検討してみてはいかがでしょうか?

 

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