料理の味付けなどに必要不可欠な調味料ですが、すべての人に料理を楽しんでもらうために、アレルギー対応の調味料を使用するということも、状況によっては必要な配慮かもしれません。
今回は、調味料のアレルギー対応についてご紹介します。
目次
食物アレルギーとは
まず、前提となる食物アレルギーについて確認していきましょう。
食物アレルギーとは、本来であれば栄養として取り入れる相手である食物に対して、外敵から身を守るはずの免疫の仕組みが作動して、なんらかの症状がおこってしまうことを指します。
症状としては、皮膚、呼吸器、粘膜、消化器、場合によっては全身に影響が出るケースがあります。
経口摂取するものはすべてアレルギーの原因となる可能性がありますが、その中でも食品アレルギーの発症数や重篤度から、「食品表示基準」の中で表示が義務づけられているものがあります。
表示が義務付けられている食品は、下記の7品目であり、これらは「特定原材料」と呼ばれています。
・卵
・乳
・小麦
・落花生(らっかせい)
・えび
・そば
・かに
また、これら以外にも、「特定原材料に準ずるもの」として「いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉、アーモンド」これらの21品目が設定されています。
この「特定原材料に準ずるもの」は義務ではないですが、表示することが推奨されている、推奨品目となっています。
食品アレルギーの中でも鶏卵、乳製品、小麦、そば、魚類、ピーナッツなどは、特に乳児~幼児の時点で発生しやすい食品となっており、呼吸器や皮膚、場合によっては全身に症状が出ることがあります。
そういったアレルギー症状を消費者が未然に防ぐために、食品を提供している製造業者などは、明確に原材料の表示を行うことが重要です。
アレルギー対応食品とは
ここまで、食品アレルギーについて簡単に説明してきました。
そうして、こういった食品アレルギーを持っている方でも、安心して食べることができる食品のことを、アレルギー対応食品と言います。
具体的には、食品からアレルギーの原因物質だけを除去したり、遺伝子の除去によってアレルギー原因物質の発現を制御したり、除去すべき食品とは別の食品を用いて作るなどの方法で作られている食品になります。
また、アレルギー対応食品は、アレルゲン除去食品、アレルギー疾患用食品、低アレルギー食品と呼ばれることもあり、ほぼ同じ意味で用いられています。
一般的な調味料に含まれるアレルギー物質
では、一般的な調味料には、どのようなアレルギー物質が含まれているのでしょうか。
代表的な調味料に絞ってお伝えします。
醤油
醤油の主な原材料は、大豆、小麦、食塩です。
これだけ聞くと、食品アレルギーのリスクが高そうですが、醤油は長時間発酵させて作られるため、アレルゲン活性はかなり抑えられています。
そのため、醤油は多くの方には影響はないと言われています。
しかし、食品アレルギーを持っているすべての方に問題がないという訳ではないので、注意しましょう。
醸造酢
穀物酢の場合、原材料は米、トウモロコシ、小麦、酒粕、麦芽などになります。
また、果実酢の場合はリンゴやブドウなどを各々1種または2種以上組み合わせて作られます。
それぞれアレルギー物質となる可能性もあるため、穀物酢と果実酢を分けて使うことが良いかもしれません。
味噌
味噌の主原料は、大豆、米、麦などです。
その他、調味料としてアミノ酸などを含んでいる場合もあります。
味噌も、アレルギー物質を原料として含んでいる食品ですが、醤油と同じように長時間発酵させて作られるため、アレルゲン活性が抑えられている調味料となっています。
ケチャップ
ケチャップの主な原料はトマトと酢です。
ただし、メーカーによって含まれる原料が異なります。
中には、ケチャップの原料として水あめが含まれており、その水あめの原料の小麦からアレルギーを発症してしまった、というケースも存在します。
しっかりと原材料を確認すること、ケチャップの代わりにトマト缶を使うなどで、対策を図りましょう。
ソース
ソースはその濃度で種類が分かれており、主に「ウスターソース」「中濃ソース」「濃厚ソース」の3つに分けられます。
原料は様々であり、野菜、果実、酢、香辛料、塩、砂糖などから作られています。
各メーカーによって、原材料が微妙に異なるため、原材料をしっかり確認し、同じメーカーのソースを使い続けるのが良いかもしれません。
アレルギー対応食品としての調味料
一般的に使われている調味料の中でも、アレルギー物質は含まれています。
では、食物アレルギーを持っている方でも、安心して使える調味料とはどのようなものになるのでしょうか?
解決策の一つがアレルギー対応食品の調味料を活用するという方法です。
醤油であれば、大豆を使わずに、麦、米、あわ、きび、キヌア、昆布エキス等から製造されたアレルギー対応食品としての醤油が作られている場合もあります。
また、市販のドレッシングでも、アレルギー特定原材料7品目を使用していないものや、特定原材料に準ずるもの21品目まで範囲を広げ、合計28品目を使用していないものなどが流通しています。
一般消費者の方は、こういったアレルギー対応食品の調味料を活用すれば、アレルギー発症のリスクを抑えて食事を楽しむことができるでしょう。
しかし、市場に流通しているアレルギー対応食品としての調味料の数はまだまだ少ないのが現状です。
食品開発の技術が進歩し、アレルギー対応の調味料を新たに開発できる食品製造会社もいくつか存在します。
食品会社は、空白マーケットを攻略する、またアレルギーで他の人と同じように食事ができない方を助けるという意義のもと、アレルギー対応の調味料の開発、販売に取り組んでみるのも良いかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
アレルギー対応食品は、多くの方に等しく食事を楽しんでもらうために必要となる食品ですし、その中でも料理に欠かせない調味料には一層注目する必要があると言えます。
消費者としては、原材料の確認をしっかりと行う、アレルギー対応食品を探して購入するなどの取り組みが必要でしょう。
また、メーカーとしては原材料を正しく表示するだけでなく、新たにアレルギー対応食品を開発することも検討していくべきかもしれません。
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