2023年4月1日から、遺伝子組換え食品の表示制度が一部変更になることはご存知でしょうか。「遺伝子組換えでない」等の表示について、従来よりも厳しい基準が設けられました。

今回は、遺伝子組換え表示制度の改正ポイントについて解説していきます。

 

  

目次

遺伝子組換え食品とは

 

遺伝子組換え食品とは、作物などにおいてその遺伝子情報を人工的に加工したり、異なる生物の遺伝子を融合したりすることで、従来の交配等の品種改良技術では不可能であった新しい性質を持たせた食品のことを指します。

また、遺伝子組換えした微生物によって生産される遺伝子組換え添加物も存在します。

新しい性質とは、例えば特定の除草剤への耐性や、害虫や病気に強い、生産性の向上などがあります。

 

遺伝子組換え食品にはその有益性が認められる一方で、環境や人体に対する有害成分を新たに生成している可能性も否定できません。

そのため、現在日本で販売・流通されている遺伝子組換え食品・添加物は、厚生労働省による安全性審査によって認められたものであり、その数は食品9品目(331品種)+添加物24種類(75品目)となっています。(20221027日現在)

 

<食品>

①じゃがいも(12品種)

②大豆(29品種)

③てんさい(3品種)

④とうもろこし(209品種)

⑤なたね(23品種)

⑥わた(48品種)

⑦アルファルファ(5品種)

⑧パパイヤ(1品種)

⑨カラシナ(1品種)

 

<添加物>

①アスパラギナーゼ(1品目)

②アミノぺプチダーゼ(1品目)

③α-アミラーゼ(17品目)

④α-グルコシダーゼ(1品目)

⑤α-グルコシルトランスフェラーゼ(4品目)

⑥エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(2品目)

⑦カルボキシぺプチダーゼ(1品目)

⑧キシラナーゼ(5品目)

⑨キモシン(5品目)

⑩グルコアミラーゼ(5品目)

⑪グルコースオキシダーゼ(2品目)

⑫酸性ホスファターゼ(1品目)

⑬シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(2品目)

⑭テルペン系炭化水素類(1品目)

⑮プシコースエピメラーゼ(1品目)

⑯プルラナーゼ(4品目)

⑰プロテアーゼ(3品目)

⑱ペクチナーゼ(1品目)

⑲ヘミセルラーゼ(2品目)

⑳β-アミラーゼ(1品目)

㉑β-ガラクトシダーゼ(1品目)

㉒ホスホリパーゼ(6品目)

㉓リパーゼ(6品目)

㉔リボフラビン(2品目)

 

 

遺伝子組換え表示制度とは

 

前述の遺伝子組換え食品とその加工品について、食品表示基準に基づいた遺伝子組換え表示制度があり、義務表示と任意表示について其々定められています。

 

 

義務表示制度

 

前述の9農産物及びそれを原材料とした33加工食品群について、遺伝子組換え農産物を使用した場合は、遺伝子組換え農産物である旨を表示することとなっています。

また分別生産流通管理をしていない場合や、分別生産流通管理をしたが意図せざる混入が5%を超えていた場合は、遺伝子組換え農産物が分別されていない旨を表示することとなっています。

義務対象の加工品には豆腐や味噌などが含まれますが、一方で醤油や植物油などは最新の技術によっても組換えDNA等が検出できないため、表示義務がありません。

 

 

任意表示制度

 

これまでは、分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品において、「遺伝子組換えでない」等の表示が可能でしたが、202341日からの新制度ではこの任意表示制度が変更となります。

 

 

任意表示制度の変更

2023年41日からの新制度では、消費者の誤認防止や選択機会の拡大につなげることを目的として、任意表示について表示方法が下記のとおり変更となります。

これにより「遺伝子組換えでない」等の表示ができる基準が変わるため、これまでの表示内容が使用できなくなる商品が発生するため、事業者は注意が必要です。

なお、義務表示の制度変更はありません。

 

■分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品

➡適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能

 (表示例 「大豆(分別生産流通管理済み)」等)

 

■分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品

➡「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」等の表示が可能

 

また新制度施行前に製造し、旧来制度に基づいた表示をした食品については、施行後も販売が可能です。

一方で、新制度施工後に使用する容器包装には、新制度に即した表示をする必要があるため注意が必要です。

 

 

参考資料:消費者庁「知っていますか?遺伝子組換え表示制度」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/assets/food_labeling_cms202_220329_01.pdf

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は遺伝子組換え制度の内容と改正ポイントについて解説しました。

業務用調味料・開発.comでは、ここでご紹介した以外にも様々な視点から特徴的な調味料を開発しています。

 

また、このサイトでは調味料の知識についてだけではなく、関連する様々な情報を発信しています。

ぜひ他のコラムもご覧ください。