最近話題の「完全栄養食」。みなさんも耳にする機会があるのではないでしょうか。
今回は完全栄養食について、栄養学の知識も交えながらメリット・デメリットも紹介していきます。
目次
完全栄養食とは
完全栄養食とは、完全食、完全栄養食品とも呼ばれ、人が健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ食品です。
多くの製品が、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」が定める1日に必要な栄養素を過不足なく補えるものになっています。
栄養バランスの良い食事とは?
栄養バランスの整った食事というのは、カロリー摂取量だけでなく必要な栄養素を過不足なく摂ることが重要です。
厚生労働省が策定した日本人の食事摂取基準で設定された栄養素やカロリー摂取量は、年齢や性別・身体によって異なるため、一人一人に適した摂取量があるというわけです。
そして食事摂取基準で設定されている摂取量と合わせて、食品、栄養素との関係を理解することも重要です。
食品と栄養素の関係は以下の4つのポイントから構成されます。
①5大栄養素
食品に含まれている栄養素のことで、「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「無機質」「ビタミン」の5つを表します。
②三色食品群
栄養素の働きから、3つの食品グループに分けたもので、下の表のように分けられます。
色 |
栄養素の働き |
食品 |
赤 |
体をつくるもとになる |
肉、魚、卵、牛乳・乳製品、豆など |
黄 |
エネルギーのもとになる |
米、パン、麺類、いも類、油、砂糖など |
緑 |
体の調子を整えるもとになる |
野菜、果物、きのこ類など |
③六つの基礎食品群
|
食品 |
1群 |
魚、肉、卵、大豆、大豆製品 |
2群 |
牛乳・乳製品、海藻、小魚 |
3群 |
緑黄色野菜 |
4群 |
淡色野菜、果物 |
5群 |
穀類、いも類、砂糖類 |
6群 |
油脂、脂肪の多い食品 |
④食事バランスガイド
「何を」「どれだけ」食べれば偏りのない食事になるのかを、料理グループに分けて分類し、料理の組み合わせを示したものです。
<食事バランスガイドでの料理グループ>
料理グループ |
栄養素 |
食品 |
主食 |
炭水化物 |
ご飯、パン、麺類、パスタなど |
副菜 |
ビタミン・ミネラル |
野菜、きのこ、いも、海藻 |
主菜 |
たんぱく質 |
肉、魚、卵、大豆 |
牛乳・乳製品 |
カルシウム |
牛乳・乳製品 |
果物 |
ビタミンC、カリウム |
果物 |
菓子・嗜好飲料 |
(楽しく適度に摂るもの) |
菓子・嗜好飲料 |
上の表のように料理グループごとに分類することで、どんな食品を食べたのか、また、どんな働きのある栄養を、献立を通してどれだけ摂取できているのかを知ることができます。
これらの食品と栄養素の関係を構成する4つのポイントを理解し、食品の摂取量と献立の構成を組み立てることで、栄養バランスの良い食事が出来上がるのです。
しかし、これらを意識したバランスの良い食事を3食毎日、完璧に準備し継続することは大変難しいことです。
忙しい現代には調理や食事の時間を短縮する人は多くいますが、同時に健康志向を意識する人も増えています。
この傾向から、簡便性が高く、かつ健康を意識した商品が多く出ています。
完全栄養食の主な3つのタイプ
①ドリンクタイプ
スムージーのような飲みやすい商品が出ています。簡単に摂取できるので、時間のない朝食時や普段の食事にプラスして栄養バランスの良い食事を簡単に摂ることができます。
②固形タイプ
グラノーラやクッキー・グミなど少量のおやつ感覚で食べられる商品が出ています。
時間のない朝食時や食事を抜いてしまった日の間食に、また食欲のない日でも簡単に栄養を摂取できます。
③食事タイプ
カップラーメンのようなしっかり濃い味のイメージがあるものや、具沢山のスープ類、パン、パスタなど、満足感のある食事ながら、栄養素を摂取できる種類豊富な商品が出ています。
仕事が忙しく食事が偏りがちであったり、身体的に食事の準備が難しい方であったり、様々な方が満足感のある食事を簡単に食べることができます。
1日に必要な栄養素はなんと33種類!
完全栄養食に欠かせない、1日に必要な栄養素について解説します。
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素があります。
たんぱく質 |
脂質 |
飽和脂肪酸 |
n-3系脂肪酸 |
n-6系脂肪酸 |
炭水化物 |
食物繊維 |
ビタミンA |
ビタミンD |
ビタミンE |
ビタミンK |
ビタミンB1 |
ビタミンB2 |
ナイアシン |
ビタミンB6 |
ビタミンB12 |
葉酸 |
パントテン酸 |
ビオチン |
ビタミンC |
ナトリウム |
カリウム |
カルシウム |
マグネシウム |
リン |
鉄 |
亜鉛 |
銅 |
マンガン |
ヨウ素 |
セレン |
クロム |
モリブデン |
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メリット・デメリット
メリット
完全栄養食は、1日に必要な33種類の栄養素を過不足なく摂取することができ、「誰でも簡単に」栄養バランスの良い食生活を送れることが最大のメリットと言えます。
忙しい毎日の中での栄養バランスを考えた料理は大変ですし、料理の得意不得意料理もあります。
どのような条件でも、誰でも簡単に栄養バランスの整った食事を摂ることができるのです。
栄養バランスの良い食事を摂ることは、食生活の改善となり、肥満等の生活習慣病の改善や予防になります。
また長期保存が可能な商品が多く出ているので、災害時の非常食にもなり、栄養不足に陥りやすい非常時にも適しているのではないでしょうか。
デメリット
テクスチャーが柔らかい商品が多くあり、長期的に継続して生活に完全栄養食を取り入れると、咀嚼回数が減ったことによる顎の筋力が衰える可能性があります。
また、満足感の得られにくい商品も多くあり、食事への取り入れ方に工夫が必要です。
1日の食事のうち1~2食を完全栄養食に置き換えたり、普段の食事にプラスしたりすることで上手く食生活に取り入れて、バランスの良い食生活を意識することが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?最近話題の完全栄養食について解説しました。
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